2021年03月13日

生存確認‼ 「いい人」加藤さん。

katousann.jpeg

 今から25年ほど前、僕は毎月月末になると伊豆半島の東伊豆町に行っていました。
 当時、タダノ静岡営業所のあった静岡市から車で片道3時間半(もちろんノンストップ)かかる所でした。
 なぜ、毎月か??
 それは、当時、そこに「加藤開発工業」なる会社があり、毎月、支払の相談に行っていたからです。

 社名が「加藤開発工業」なのに、なぜか「KATO」ではなく「タダノ」を購入していた加藤さん。
 50tクレーンを分割購入し、所謂「バブル崩壊」後、クレーン購入当初の見込みが大外れ、事業見直しを図られた結果、毎月相談に行っていました。
 当時の伊豆半島は、もろにバブル崩壊の影響を受け、ホテルはダメ、保養所はダメ、マンションはダメ、建築系がほとんどダメ、ダメ、ダメ、で、ただ、海を見て金目鯛を食べることしかできなくなっていたのです。

 まだ、駆け出しの営業マンで経験、見識不足の自分は、ただ、加藤さんの毎月話する「たぶん、こうなると思う、たぶん。」という、伊豆に神風が吹きます的な何の根拠もない前向き楽観論を2時間程度聞かされ、それを報告書に書き、本社へ送ることしかできませんでした。

 いまなら、あらゆる手が思いつくし、実行もできるのですが。

 その後、自分は横浜に転勤となり、次の担当者に引き継ぎ、加藤さんともとりあえずお別れに。
 
 平成16年に自分がトモエ自工の社長として静岡に戻ってきた時には、訪ねてきてくれました。

 要件は「クレーン車を借りたい」とのことで、昔のことがあるからか「木村さん、伊豆から蛾が飛んできたと思ってるでしょう」なる、歴史に残る発言をされ、決して悪い人ではないとの思いから、12tクレーンをお貸することになったのです。

 結局、加藤さんの年齢のことやリーマンショックなどもあり、今から約10年ほど前に「加藤開発工業」は廃業になりました。

 かつて、加藤さんから紹介された東伊豆の名温泉宿「山桃茶屋」(テルマエ・ロマエのロケ地になりました)に訪れるべく、久々に同地に行き、ふと、加藤さんのことを思い出し、かつての加藤開発工業の場所へ行ってみると、お元気な加藤さん(85歳)のお姿が。

 奥様を交え、昔話を1時間ほどして、記念撮影に。かつてのギラギラした武闘派が力の抜けた良い顔になっていました。

 帰り際、裏庭で栽培されてる自家製野菜をたくさんいただきました。

 加藤さん曰く、「もう、商売は関係なくなってしまったけど、また、来てください。」

 もちろんですよ。営業とは「心の付き合い」ですから。


 
posted by ネイチャーアンクル at 00:00| 静岡 ☀| 油圧クレーン業界 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は90日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。